一つ訂正です。
昨日、ご紹介した
届けよう!東海から元気を!!のT-シャツですが、こちらの黒バージョンはスタッフのやつでした(笑)
よく見ると“STAFF”って書いてあるネ。すみません。
なので、販売用はこちらの二種類になります。
■白地に赤プリント
■白地に黒プリント
相田みくろ×東海から元気をコラボレーションT-シャツ、よろしくお願いします☆
さて、時間がありません。
めでたいニュースがたくさんありますが、まずは授業を進めることにします。(あとで、またブログをあげるかも)
今日、ご紹介する曲はこちら。
『OH!』
五曲目のこれは、なんとまたしてもノーサンプリング!なので、授業終わり!!、、、という訳にもいかないでしょ〜。しかし、そうなんです。今回のKURO&S★Gは半分はサンプリング、半分はオリジナルで構成されています。
パッチワークで音を作るのではなく、あくまでもフィーリングにソウル。つまり、魂。ドラムの松本さん的に言うならば“しいたま”。これがあることが何よりも大事なのです。
この曲は、ものすごいくだらない日常生活のダメ話から日本の原発問題まで歌うという幅広い内容となっています。外人が悲惨な目に遭ったり、見たりすると咄嗟に発する言葉「OH〜!」という言葉をキーワードに、サビやラップの部分の韻を踏んでいます。
ホントはね、、、音源が出ていたらこの「OH〜!」という部分をみんなと一緒に歌えるような構成になっているので、より楽しいのだけれど。ま、そこのもどかしさをどうやって「エンターテイメント」と「技術」で埋められるかが、このプロジェクトの面白味でもあるので、当日はちょっとした仕掛けを用意しております。さて、ハマるでしょうか。
ところで、簡単ソウル講座。
この「OH!」を作っているときに、ずっと頭にあったのは実は日本のソウルシンガーです。
忌野清志郎さん。
え?KING OF ROCKだからロックシンガーだって?
ぶっちゃけ、それでもいいです(笑)
ただ、彼がソウルの巨人、オーティス・レディングにものすごく傾注していたことはとてもよく知られている事実。
今日はこのオーティスを少々、忌野さんを大さじ一杯、味付けは跡付けで授業を進めてみたいと思います。
まず、このオーティスという人物とは誰か?
1941年アメリカのジョージア州生まれ。彼は、あのサム・クックに憧れ、そして独特な歌唱法で南部の土臭いソウルミュージックのスタイルをもって、数々のヒットを飛ばし、世の中のあらゆるミュージシャンに影響を与えた“歴史上最も偉大な100人のシンガー”にも選ばれる、唯一無二のソウルシンガーです。
オーティスのスタイルは、およそ憧れのサム・クックとは似ても似つかないのですが、彼が残した名曲は数知れず、今も多くの人にカバーされ歌い継がれています。
例えば、これ。
Otis Redding - Respect (Studio, High Quality)
それを自分のモノにしてしまった。
クイーン・オブ・ソウルことアレサ・フランクリンのバージョン。
Respect - Aretha Franklin
アレサはあのAIちゃんも憧れる、ソウル界の女王です。(いつか彼女のことも書かなきゃね!)ホントにスゴい歌い手は、カバーをまるで自分のオリジナルにしてしまう力があります。今ではこの曲はオーティスよりも彼女のイメージが強くなった感がありますね。良かったら聴き比べてみて下さい。
この曲を彼女が歌ったとき、オーティスは「一曲とられちゃったな、、、」と、こぼしたという話が残っています。僕らもいつかスゴ腕のシンガーにカバーされ、“とられた”と感じるときがくるのでしょうか?
ちなみに、余談ですがレーベルメイトでありパイセンのライムスターさんの名曲「RESPECT」の冒頭のこの「R.E.S.P.E.C.T.〜♩」は、多分アレサバージョンの後半に出て来るフレーズを加工して使用していますね。でも、これって加工するとアレサの声がオーティスに聴こえてくるから不思議です(笑)聴いてみて〜。こんな発見も楽しいよ。
RESPECT
温故知新。こうやって、過去と現在を繋ぐ音楽って素晴らしいですね。最近だと、JAY-ZとKANYE WESTも大々的にサンプリングしていました。しかも、タイトルもまんま「Otis」(笑)U-ICHIもツアーのBGMで流していたので耳にした方もいるのでは?
Kanye West, Jay-Z - Otis
この元ネタがこちら。オーティスの代表曲であり、超・超〜名曲です。
Otis Redding - Try A Little Tenderness (Album Version)
最近、この曲の冒頭の印象的なホーンを吹いた“メンフィス・ホーンズ”のアンドリュー・ラヴという人が亡くなったのですが、オーティスは「このロマンティックなスロー曲のイントロを典型的な南部のバラードを思わせるホーン・セクションで始めたい」と言ったそうです。なるほど、その感じが出ていますよね。(多分)
この曲はとても不思議な構成で、その印象的なホーンのイントロから一瞬スローバラードな雰囲気が漂うのに、途中からメンフィス・ソウルの立役者アル・ジャクソンのスネアドラムが小刻みに鳴り始め、段々その様相を変えていきます。最後の方になると、めちゃくちゃテンションが高い曲になるという(笑)ライブでもこの曲は、ブチあがります。
さて、ここから忌野清志郎さんに行く前にちょっとだけ暴露しちゃいましょう、、、。
実は、オーティスがこの曲をライブでやるときに用いていた手法を僕らの「AKATSUKI」ツアーでも使わせてもらいました。
Otis Redding - Try a Little Tenderness
そうです。あのアンコールの最後、「Rolling Stone」で何度もステージから“出ては現れ”のスタイルは、実はソウルの典型的な煽り方で、このオーティスの「Try a Little Tenderness」からパクらせてもらいました(笑)トータス松本さんもよくされる演出ですよね〜。
あれ、スゴい楽しかったでしょ??
はい。こんなところからヒントを拝借したりしているのですよー。オーティス先生、ありがとうございます。お蔭でアンコール、めっちゃ盛り上がりました。
さて、暴露ついでにこの曲と忌野さんとの共通点。それは、オーティスが最後に何度も連呼する「ガッタ!」「ガッタ!」というフレーズ。これは、英語の「You Gotta!」が短縮されて「Gotta!(ガッタ)」となったものだと思うのですが、意味は(多面的で一言ではいいにくいのですが)「○○しなきゃ!」みたいな、人を煽る言葉ですね。
オーティスにめちゃくちゃ影響された忌野さんは、このフレーズをまるで自分のモノのように用い、そしてその独自の歌唱法にならい、自分も清志郎スタイルを確立します。
ガッタ好きすぎて、本のタイトルにしちゃってるぐらいですから。
GOTTA(ガッタ)!忌野清志郎 (角川文庫)
あの独特な歌唱法、清志郎スタイルはオーティスよろしく日本の色んなミュージシャンに影響を与えました。甲本ヒロトさん、エレファントカシマシの宮本浩次さん、YO-KINGなどなど、挙げてみると「なるほどな〜」と思うでしょ?
サム・クックもそうだったのですが、オーティスも含め、言葉をハッキリと発音すること、忌野清志郎さんも“日本語を明瞭に発音する”ことにスゴくこだわったそうです。
それは、促音(そくおん)といって、例えば小さな「っ」が入る言葉、「去った」「待った」など(だから「ガッタ」もそうですね。)日本語のメリハリを強調するという発声法を編み出し、若い頃は布団の中に入り、日本語を“あ”から“ん”まで一文字ずつどうやって発生したら一番ハッキリ聴こえるかを研究していたらしいです。
日本語って奥が深いですね〜。まだまだ可能性があります。
これはラップにも役立つと僕は思いました。母音をリズムにどうハメるかによって、聴こえ方、響き方を変えることが出来ます。この辺に関しては、トータス松本さんもホント上手いです。
例えば、これ。
ウルフルズの「はばたく!」
サムライソウルのカップリングで好きな曲の一つです。
YouTubeに音がなかったので歌詞で説明しますが、“真っ赤っかな太陽〜”といきなり促音連発から始まり、サビが“はば〜たっく!”と言葉を伸ばして促音を入れることにより、アタックが生まれ、実は違った音と意味にも聴こえるという。
“はば〜たっく!”=“Have a Attack!”(アタックしろ!)とダブルミーニングになっています。さらにスゴいのはその後に続く“はぁ〜ばたくぜっ!”と歌うと“Have a nice day”にも聴こえるという(笑)
マジでトータスさんの歌詞におけるユニークさとセンスには脱帽です。ただ韻を踏むだけでなく、言葉にアタックを付けることで色んな広がりを持たせることができます。こういった遊びの部分は、確実に忌野清志郎さんのスタイルに通ずるものがありますね。
忌野さんも「ガッタ!」を連呼するときに「ありガット!ガット!ガット!」と言うときがありました。つまりスタイルは、センスなのです。
オリジナルを自分なりにどう消化してアウトプットするか。オーティスがアリサに1曲とられたな〜とこぼしたように、忌野さんもオーティスから独自の歌唱法を見いだし、そして僕を含めた多くの人たちに影響を与えました。
ついでに、暴露しちゃいますが、、、
「エール」で僕が歌っているこの部分、
“でもキミの姿が僕らを励ました だから思わず声が出た”というフレーズは、忌野さんとオーティスにリスペクトを込めて「ガッタ!」を密かに忍ばせてあります(笑)
残念ながら、オーティスは26歳の若さで飛行機事故に遭い亡くなってしまいます。そして、忌野清志郎さんは、2009年に58歳で亡くなりました。ただ、二人の魂とメッセージはこうして確実に受け継がれ、そして今もなお多くのミュージシャンにカバー/サンプリングされ、影響を与え続けているのです。
忌野清志郎___サマータイム・ブルース_原発.
忌野さんがどれだけ反社会的なメッセージを投げかけても、決してユニークさを忘れなかったように、僕らが作ったKURO&S★Gの「OH!」も原発をオナラに例えて歌っています(笑)
以下はライナーノーツから。
3・11の震災が起きてから作った曲です。直接は言及していないのですが、後半は原発について“ある比喩”を用いて、HOZEと激しいラップの掛け合いで揶揄しているバースも出てきます。因みに、前半は日常のハプニングをそれぞれ歌っています。僕は、甥っ子とストラックアウトという野球ゲームで肩を壊した話を、HOZEは後部座席にある荷物を取ろうとしたら肋骨を折った話を(笑)二人で一緒に接骨院に行ったというオチもついて、とても面白い曲に仕上がったので、当日はどうぞ好きなだけ笑ってやって下さい。
ということです。
みんなもこのプロジェクトをきっかけに、過去の素晴らしい音楽に触れることで更に親しみをもってもらい、そしてその素敵なメッセージを受け取ってもらえたらボクはもう言うことナッシングです。
よろしくね〜。
今日の授業、5曲目終了。
追伸:
鳥肌、、、。清志郎さんのサマータイムブルースをYouTubeで聴いていたら、ラジオからサマータイムブルースが流れてきた、、、。
なんて偶然でしょう。
しかも今日は忌野清志郎さんの命日なのです。改めてご冥福を御祈りします。
これも音楽が起こした奇跡ですかね。