オリンピックの結果に一喜一憂し、沸き立つ今日この頃ですが、こんな記事を読む機会がありまして、
今まで見た中で最高に左翼な開会式だね。共産党国家の北京よりも左翼。次は社会保障へのトリビュートか??
奇しくも、その流れでコレを観るという偶然が起きました。
「ザ・コミットメンツ」
お蔭で、ただの音楽映画だと思っていたら違った側面を持って観ることができました。
監督:アラン・パーカー
主演:ロバート・アーキンズ/マイケル・アーニー/アンジェリン・ボール/マリア・ドイル
あらすじ:
ダブリンの労働者階級に生まれたら成功する道は3つ。プロサッカー選手、プロボクサー、ミュージシャン。そんなダブリンで、本物のソウルミュージック・バンドを作ろうと集まった12人の若者たち。素人同然の彼らが結成したバンド“ザ・コミットメンツ”は練習場所にもことかく困難や挫折を明るく乗り越えて、次第に魂(ソウル)の音楽を作り上げていく。。。
1991年制作のイギリス・アイルランド合作映画。実は、そんなに期待していなかったのですがこれがスゴく良かった。きっと上記の記事をたまたま読んだ後だったからでしょうか。欧州に根深くはびこる差別や宗教問題を軽妙なアイリッシュ・ジョークで弾ませながら、往年のソウルミュージックのカバー(これがなかなか秀逸!)と共に、バンドの栄枯盛衰を描いています。特に印象に残ったマネージャーのジミー(ロバート・アーキンズ)が発したこのフレーズ「アイルランド人はヨーロッパの黒人だ。 ダブリンっ子はアイルランドの黒人だ。ダブリン北部に住んでる奴はダブリンの黒人だ」
確かに、映像に出てくる彼らの生活環境はまさにゲットーそのもので、街自体が激しく劣化しています。音楽をやりながら昼間は生活保護センターに赴いたり、低賃金の仕事に就いたり、そんな劣悪な環境に住む彼らこそまさに、欧州のなかの黒人、ソウルミュージックを演奏するのに相応しいと言うわけです。「俺たちの、ダブリン・ソウルをやるんだ!ソウルを心から歌うんだ!」メンバーを広告で募集しながらオーディションをやり、様々な問題を抱えながらデビューを目指していきます。
メンバー募集広告の最後のフレーズに「南地区はお断りだ」と小さく皮肉が入れてあるのですが、それも上記の記事を読めば合点がいきます。カトリック系住民とプロテスタント系住民が長きに渡って殺戮を繰り返した北アイルランド紛争のことを暗に示唆しているのです。調べると、ロンドンオリンピックの開会式を監督した(トレインスポッティングでも有名な)ダニー・ボイルはアイルランド・カトリック教徒の労働者階級の両親の元に生まれています。つまりは、この映画の底流に流れている同等のフィーリングを彼は開会式で含ませたのです。
そのフィーリングとは、この映画を観るとちょっと解るのですが、彼らの地域独自の“ドギツイ”ジョーク、スラング、自虐性、反骨精神そういった土着的な部分からくるもので、もうね、曲がりなりにも英語がちょっと解るとかなり笑えるセリフがたくさん出てきます。そのコミカルさが作品の底流に流れている澱みを軽快に濾過し、どうしようもなく観ている僕をくすぐってきます。それにしても、生きるというのはなんて醜悪で羞恥で下品で卑猥で逞しいのでしょう。踏みにじられ、蹴倒され、罵倒し、嘲罵し、それでも花は咲くんですね。生命力って、美しいなと思いました。98点。
THE COMMITMENTS - Trailer ( 1991 )
因みに、主演者は全員オーディションで選んだアイルランド出身のミュージシャンです。この映画以降、実際にザ・コミットメンツの名前でライブも行っている様子。なかなかいいですよ。特に、白眉だったのは、James Carr の“The Dark End Of The Street”のカバー。良かったな〜。
The Commitments - Dark end of the Street
他にもたくさんのソウルの名曲群をカバーしているのでその辺も必見です。
余談ですが、サム・クック・テイスト・ハンター的一場面。
世界中の有名ミュージシャンと共演してきたと、真偽の判らないをことを言うトランペットのジョーイ・ザ・リップスが発したこのセリフ。サム・クックとも一緒に演奏したそうです。
以上です(笑)
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